経営判断の軸の作り方

決断の重さに迷いが生まれる瞬間

経営者であれば誰しも、大きな決断の前に不安や迷いを感じたことがあるはずです。新規事業への投資、人材採用、設備投資など、企業の未来を左右する場面では、売上や利益だけでは判断できない複雑な選択が求められます。

「これで本当にいいのだろうか?」

そんな迷いを払拭するために必要なのが、経営判断の軸です。

「経営判断の軸」とは?

経営判断の軸とは、あらゆる意思決定の基準となる、企業の価値観や行動指針のことです。

たとえば、ある建設会社では次の3つの軸を定めました。

  1. 技術力の向上
  2. 地域への貢献
  3. 社員の成長

この軸に沿って判断することで、「利益が出るか」だけでなく、「地域社会に貢献できるか」や「社員のスキルアップにつながるか」といった視点も加わり、ブレない意思決定が可能になりました。

その結果、短期的な利益よりも長期的な成長を見据えた設備投資を実行し、受注単価が向上。企業の競争力強化にもつながりました。

経営判断の軸を構築する3ステップ

1. 価値観の棚卸

  • 過去の重要な意思決定を振り返り、その背景にある理由や根拠を洗い出します。
  • そこから、共通する価値観や思考のパターンを抽出します。

2. 軸の設定

  • 抽出した価値観の中から、3〜5個の核となる価値観を選びます。
  • 各軸の優先順位を明確にし、判断基準を具体化します。可能であれば、数値化や指標化を行い、明確に判断できるようにします。

3. 社内への浸透

  • 経営会議や日々の業務で判断軸を活用し、軸を「見える化」します。
  • 実際の判断事例を社員と共有し、「なぜこの決断をしたのか」を説明します。
  • 定期的に軸を見直し、会社の成長や環境の変化に応じて柔軟に調整します。

経営判断の軸がもたらす変化

経営判断の軸を持つことで、企業は以下のような変化を実感できます。

  • 意思決定のスピードが2倍に向上
  • 社員が経営判断の背景を理解し、主体的に行動できるようになる
  • 組織全体で一貫性のある判断ができ、迷いやブレがなくなる
  • 新規事業や設備投資の評価基準が明確になり、判断基準がぶれない

経営判断の軸は、組織の筋肉になる

経営判断の軸は、一朝一夕で完成するものではありません。
日々の意思決定の積み重ねによって、徐々に鍛えられ、企業文化として組織に浸透していきます。

まずは、過去の重要な意思決定を振り返り、そこに隠れている自社の価値観を見つけ出すことから始めてみませんか?

それが、迷わない経営へとつながり、持続可能な成長を実現する第一歩になるはずです。