数字は良いのに、なぜか余裕がない経営

「売上は順調に伸びている。利益も確保できている。それなのに、なぜか余裕がない…」

この状況に心当たりのある経営者は、決して少なくありません。

売上高は前年比120%、利益率も安定している。しかし、社内は常に慌ただしく、次の一手を考える余裕がない。気づけば、経営会議は業務報告で終わり、新規事業の検討時間はゼロ。社員の疲労感も高まり、少しずつ綻びが見え始める——そんな状況が繰り返されていませんか?

この「数字は良いのに余裕がない」状態には、3つの典型的なパターンがあります。

余裕がない原因の3パターン
1. 成長に追いつかない組織体制
・売上が伸びても人員が不足
・一人あたりの業務量が増大
・新規採用が間に合わない

2. 属人的な仕事の増加
・ベテラン社員に依存
・業務の標準化が遅れる
・引き継ぎが進まず分散が不十分

3. キャパシティの限界
・設備や人材がフル稼働
・突発的な事態に対応できない
・新規案件を断る場面が増える
兆候として現れるサイン
・残業時間が慢性的に増加
・休暇取得率の低下
・ミスや不具合の増加
・社員の疲労感が高まる
・経営会議が報告で終わる

解決のための3ステップ

1.業務の「見える化」

    • すべての業務をリスト化し、現場の工数を記録
    • 誰が何をどのくらいの時間行っているのかを「見える化」
    • 属人化している業務を特定し、分散の余地を探る
    1. 「余裕」の数値化
    • 部門ごとの稼働率を算出し、余力を把握
    • 人材や設備の稼働状況を定量的に評価
    • 余裕のある業務と逼迫している業務を仕分け
    1. 計画的な体制強化
    • 稼働率80%を上限にし、計画的に人員配置を見直す
    • 業務の標準化とマニュアル化を進め、仕事を属人化させない
    • 戦略的な採用計画を立て、必要なポジションを先回りで確保

    ある企業ではこの取り組みを通じて、以下のような成果が現れました:

    • 売上はそのままに、残業時間を30%削減
    • 社員一人あたりの生産性が15%向上
    • 新規案件にも対応できる余力が生まれ、新事業が次々と立ち上がる環境が整った

    「余裕」の視点を持つことが、持続的な成長のカギ

    経営者が覚えておくべきことは、「数字が良い」というのは、実は危険信号かもしれないということです。売上や利益などの結果だけに注目するのではなく、「余裕」という指標を経営に取り入れることが、これからの成長を支える重要なポイントになります。

    まずは、自社の「余裕度」を数値化してみてください。それが、次の一手を生むきっかけとなるはずです