毎日の業務に追われる経営者が次世代育成を後回しにする真因は、時間不足ではなく、「育成」という言葉の重さにあります。
九州北部の中小企業経営者の多くが、育成を「特別な時間と完璧な仕組み」が必要な業務だと捉えています。しかし実際は、権限委譲と日常的な成長機会の創出こそが、効果的な育成の本質です。経営者が完璧を求めすぎるあまり、育成のハードルを上げすぎているのです。
今必要なのは、役割と責任に基づく計画的な権限委譲です。対象者の業務遂行能力、取り組む姿勢、そして何より会社の価値観との一致を見極めましょう。これは単なる業務の移管ではなく、次世代リーダー育成の戦略的なプロセスとなります。
権限委譲を始めると、驚くほど早く変化が現れます。任された側は、予想以上の創意工夫を見せ始め、経営者自身も新しい視点に気づかされます。90日後には、チーム全体で問題解決ができるようになり、経営者は本来の経営判断に集中できる余裕が生まれます。これこそが、世代を超えて成長し続ける組織の姿なのです。