業務依存から抜け出せない経営者の悪循環

「気がつけば今日も、業務対応に追われてしまった…」

本来であれば、新規事業や経営戦略に集中するべき時間が、日々の業務処理に消えていく。この状況から抜け出せない経営者が後を絶ちません。

背景には、経営者特有の思考パターンがあります。

  • 「私が見なければミスが発生するかもしれない」
  • 「最終的な決裁は自分がしないといけない」
  • 「任せるより、自分でやったほうが早い」
  • 「社員の成長を待つ余裕がない」

その思考にとらわれると、次の悪循環を生み出します。

悪循環の4段階
1. 経営者への業務集中
・すべての決裁が経営者を経由
・細かな業務まで確認が必要
・社員からの相談が経営者に集中

2. 組織の依存体質の強化
・社員が経営者の判断を待つ
・主体的な意思決定が減少
・問題解決力が育たない

3. 経営者の多忙化
・戦略的思考の時間が消失
・新規事業検討が後回し
・長時間労働が常態化

4. 組織の成長停滞
・市場変化への対応が遅れる
・社員の成長機会が失われる
・売上の頭打ちが始まる

解放するには「ご自身の時間を可視化すること」が重要です。

1週間、すべての業務を記録してみてください。驚くことに、80%以上が「誰かに任せられる業務」であることに気づくでしょう。

ある経営者は、この記録をもとに次のような変革を実施しました。

  • 決裁権限の明確化:金額やプロジェクト規模で決裁ラインを設定
  • 週次での権限委譲状況の確認:進捗会議で状況をレビュー
  • 月次での組織体制の見直し:現場の状況に応じて役割を調整

その結果、6ヶ月で経営者の業務時間が40%削減され、新規事業の検討時間が確保されました。

業務依存からの脱却は、経営者自身の意識改革から始まります。まずは、自分の時間の使い方を見つめ直してみてください。その一歩が、組織全体の成長への転換点になります。